本番前に整えたい、
声と呼吸の3つの準備
式典や収録の前は、台本の確認に集中するほど、肩や口まわりに力が入りやすくなります。声は身体から生まれるもの。限られた時間でも、呼吸と筋肉を少し整えるだけで、第一声の出しやすさは変わります。
今回は、私が本番前に行っている3つの準備をご紹介します。大きな声を出せない控室でも実践できます。
1. 息を長く吐いて、肩の力を抜く
まず、鼻から静かに息を吸い、口から細く長く吐きます。「吸う」よりも「吐く」ことを意識するのがポイントです。息を吐き切ると、次の空気が自然に入ってきます。
このとき肩が上がっていないか、首に力が入っていないかも確認します。3回ほど繰り返すと、呼吸の位置が落ち着き、文章の途中で息が足りなくなる感覚も和らぎます。
小さなコツ
息を吐く時間は、吸う時間の倍くらいを目安に。苦しくなるほど長くする必要はありません。
息を吐く時間は、吸う時間の倍くらいを目安に。苦しくなるほど長くする必要はありません。
2. 唇と舌を小さく動かす
唇を軽く閉じて振動させたり、舌先で歯ぐきの外側をゆっくりなぞったりします。口まわりがほぐれると、固有名詞や数字の輪郭がはっきりしやすくなります。
早口言葉を急いで繰り返すより、一音ずつ丁寧に形をつくるほうが本番前には効果的です。その日の台本から言いにくい言葉を一つ選び、ゆっくり三度読んでみます。
3. 最初の一文だけ、声に出す
本番の第一声は、内容だけでなく、会場や映像全体の印象をつくります。冒頭の一文を声に出し、どの言葉を聞き手に届けたいか確かめます。
私は、最初の一文にブレス位置と目線を上げる場所を書き込みます。全部を完璧に読もうとせず、「ここから始めれば大丈夫」という一点をつくっておくと、落ち着いて本番に入れます。
準備は、自分に合う小ささで
声を整える方法に、すべての人に共通する正解はありません。無理なく続けられ、本番前の自分を安心させてくれる動作を見つけることが大切です。
大きな準備ができない日も、息を一度長く吐くだけならできます。その小さな余白が、聞き手に届く声を支えてくれます。